診療内容

「瘢痕」

単に「瘢痕」というときは、質感は、正常皮膚と異なり、テカテカした感じですが、色は肌色で、隆起がなく平坦なものを指します。

「肥厚性瘢痕」

「肥厚性瘢痕」は、赤く隆起した瘢痕です。
手術の傷あとなどに生じます。
通常、経過は長いですが、1～2年経過を見ると改善し、肌色、平坦に戻ります。

「ケロイド（真性ケロイド）」

「ケロイド」は、傷跡に生じる拡大性、難治性の赤い隆起です。
元の傷の範囲を超えて拡大するのが特徴です。
前胸部、肩、上腕、耳垂（耳たぶ、ピアス後）下顎、下腹部（帝王切開後）などに生じます。
手術の傷あとなどに生じることもありますが、気づかない虫刺されなどから生じて、拡大して大きくなることがあります。
拡大方向に赤みが生じ、元の部分は赤みが収まります。
難治性で完治の難しい状態です。
広範囲に拡大することがあります。
体質によって生じます。
一般用語としての「ケロイド」は、傷が目立つものを広く指す言葉ですが、医学用語としての「ケロイド」は、上記に記したもののみを指すため、区別するために医学用語の「ケロイド」は、「真性ケロイド」と呼ばれることがあります。

「瘢痕」の治療
1．手術による治療

幅の広い「瘢痕」は、幅の部分を切除し、縫合し直すことで、幅を狭くすることができます。
特に外傷により裂けてできた傷あとは、幅を持つことが多く、改善が期待できます。
形成外科的な丁寧な再縫合をする必要があります。
手術後は、傷が安定するまで、3ヶ月間のテーピング固定することで、傷の幅が拡がることを防止できます。
「肥厚性瘢痕」も幅の広いものは、切除、再縫合で、幅を細くすることが可能です。
「ケロイド」は、拡大性があるので、メスで傷つけるとその傷が原因となり、さらにケロイドを拡大させるので、手術による治療はできません。
手術をしてはいけないと言われています。

2．フラクショナルCO₂（炭酸ガス）レーザーによる治療

瘢痕の質感の違いは、CO₂（炭酸ガス）レーザーをフラクショナル照射することで、改善させることができます。
CO₂（炭酸ガス）レーザーは、「削る」レーザーです。
イボや隆起のある黒子を削るときに使用されるレーザーです。
フラクショナル照射とは、レーザーを面ではなく、点の集合として照射する方法です。
削るレーザーを面で照射すると、皮膚は削れてしまいますが、点の集合として照射すると、皮膚の深部まで届く、小さな穴がたくさん開けることができます。
健康な皮膚は、皮膚のハリを作るコラーゲン線維で満たされています。
瘢痕では、コラーゲン線維が壊れていて、萎縮しています。
壊れているコラーゲン線維の中に穴をあけると、穴が修復されるときに、コラーゲン線維の再構築が起こり、萎縮したコラーゲン線維は、活性化したコラーゲン線維で置き換わります。
また、穴は、収縮して閉じるため、瘢痕の面積を少しですが、小さくします。
皮膚の引き締めをします。
コラーゲン線維の活性化と皮膚の引き締めにより、皮膚の質感を改善します。
繰り返し照射することにより、少しずつ質感を改善してゆきます。
幅のある瘢痕は、先に手術より、幅を縮める方が、効率的です。

「肥厚性瘢痕」､「ケロイド」の赤みの治療

「肥厚性瘢痕」、「ケロイド」の赤みの治療は、「Vビームレーザー」による治療が可能です。
＊ 肥厚性瘢痕、ケロイドの赤みの治療は、「ケロイド、肥厚性瘢痕」を、ご参照ください。

「瘢痕」の質感の違いは、「フラクショナル CO₂（炭酸ガス）レーザー」による治療が可能です。