ケロイド、肥厚性瘢痕
ひこうせいはんこん
皮膚は、外傷、熱傷、手術等により傷つくと、瘢痕(傷あと)となります。
瘢痕は、3つに分類されます。
「瘢痕」、「肥厚性瘢痕」、「ケロイド」の3つです。
「瘢痕」の質感の違いは、「フラクショナル CO2(炭酸ガス)レーザー」による治療が可能です。
* 「外傷・熱傷による瘢痕」を、ご参照ください。
「肥厚性瘢痕」、「ケロイド」の赤みは、「Vビームレーザー」による治療が可能です。
「瘢痕」
単に「瘢痕」というときは、質感は、正常皮膚と異なり、テカテカした感じですが、色は肌色で、隆起がなく平坦なものを指します。
「肥厚性瘢痕」
「肥厚性瘢痕」は、赤く隆起した瘢痕です。
手術の傷あとなどに生じます。
通常、経過は長いですが、1~2年経過を見ると改善し、肌色、平坦に戻ります。
「ケロイド(真性ケロイド)」
「ケロイド」は、傷跡に生じる拡大性、難治性の赤い隆起です。
元の傷の範囲を超えて拡大するのが特徴です。
前胸部、肩、上腕、耳垂(耳たぶ、ピアス後)下顎、下腹部(帝王切開後)などに生じます。
手術の傷あとなどに生じることもありますが、気づかない虫刺されなどから生じて、拡大して大きくなることがあります。
拡大方向に赤みが生じ、元の部分は赤みが収まります。
難治性で完治の難しい状態です。
広範囲に拡大することがあります。
体質によって生じます。
一般用語としての「ケロイド」は、傷が目立つものを広く指す言葉ですが、医学用語としての「ケロイド」は、上記に記したもののみを指すため、区別するために医学用語の「ケロイド」は、「真性ケロイド」と呼ばれることがあります。
「瘢痕」の治療
瘢痕の質感の違いは、フラクショナル CO2(炭酸ガス)レーザーによる治療が可能です。
* 「外傷・熱傷による瘢痕」を、ご参照ください。
「肥厚性瘢痕」、「ケロイド」の治療
1.内服治療
トラニラスト(リザベン®)という抗アレルギー剤が、肥厚性瘢痕、ケロイドに対して効果があります。
肥厚性瘢痕、ケロイドの中の炎症細胞が出す化学伝達物質を抑制するはたらきがあります。
2.圧迫療法
テープやシリコンシートなどにより肥厚性瘢痕、ケロイドを圧迫、固定します。
3.ステロイド外用、局所注入療法
抗炎症作用のあるステロイドが、肥厚性瘢痕、ケロイドの改善に作用します。
軟膏で塗る方法、薬剤の付いたテープを貼付する方法、薬剤を局所に注射で注入する方法などがあります。
特に、トリアムシノロンアセトニド(ケナコルト®)という注射剤が効果があります。
隆起を平坦化する効果があります。
4.パリン類似物質外用療法
ヘパリン類似物質(ヒルドイド®)という保湿剤として使用される外用剤が、肥厚性瘢痕、ケロイドにも効果があります。
ヘパリン類似物質には、「繊維芽細胞増殖抑制作用」というはたらきがあります。
「線維芽細胞」は、コラーゲンやヒアルロン酸を作り出す細胞です。
肥厚性瘢痕、ケロイドでは、コラーゲンが、過剰増殖して、隆起の原因となっています。
ヘパリン類似物質は、「線維芽細胞」の増殖を抑制し、コラーゲンの過剰増殖を抑制します。
5.赤みに対するVビームレーザーによる治療
血管に作用するVビームレーザーを照射することで、肥厚性瘢痕、ケロイドの赤みを改善することができます。
肥厚性瘢痕、ケロイド内の血管を破壊することで、赤みを改善します。
隆起に対しては効果がありませんので、ケナコルト®の注射等により、平坦化させた後にレーザー照射することをお勧めします。
レーザー治療以外は保険診療が可能ですが、レーザー治療は自費診療となります。
保険診療と自費診療を同時に行う混合診療は禁止されているため、レーザー治療を自費診療で行う場合、レーザー治療以外の診療も自費扱いとなりますので、ご注意下さい。
「瘢痕」の質感の違いは、「フラクショナル CO2(炭酸ガス)レーザー」による治療が可能です。
* 「外傷・熱傷による瘢痕」を、ご参照ください。
「肥厚性瘢痕」、「ケロイド」の赤みは、「Vビームレーザー」による治療が可能です。
- ■主に使用するレーザー装置
- 「Vビームレーザー」キャンデラ VビームII
- ■平均的な治療回数
- 3~5回程度、またはそれ以上
- ■治療間隔
- 2ヵ月ごと
- ■治療料金
- 治療料金一覧へのリンク